あなたのその大きな手で撫ぜて貰えたら、どれだけ幸せだろうかと、望んでしまった。
しゃがんで、頬杖をついて、足元で戯れるあたしを、やさしく微笑んで眺める。それだけ。他の人みたくあたしに触れようとしない。あたしを見る目はこんなにもやさしいのに、絶対に、撫でてかわいいと言ってはくれないのだ。
どうして?
みんな、あたしのことをかわいいと言って、撫でてくれるのに、どうしてあなたはあたしに触れてもくれないの?
ムッとした顔でみつめて訴えかけても、笑って躱される。
あなたのその、頬を支えている、その大きくて骨ばっていて、あったかそうなその手で、触れられたい。
あたし、こんなはずじゃなかったのに。もっと余裕で、誰からもかわいいねと言われて、それが当然で、こんな、執着なんてするはず、ないのに。
あなたは決まって夕方くらいにここへきて、10分くらいで「またね」とどこかへ行ってしまう。あたしはそれがどうしようもなく寂しくて、なのにまたねと言ってもらえることが嬉しくて、今日もまた、同じ時間にあなたをここで待ってしまう。
たとえあなたが、あたしに触れてくれないとわかっていても。